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人類は20万年の歴史の中で、3度目の脱経済成長期&定常化時代を迎えようとしています。過去400年間続いた経済成長の時代がひとまずピリオドを打つこの時代、人間の本来の「幸せ」についての研究が盛んに行われ始めています。
幸せを感じる仕事時間、通勤時間、年収、子供の数の研究がWiredでまとめて記事にされていましたのでご紹介。
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幸せを感じる仕事時間
答えは「1週間に33時間」
ヨーロッパと米国の勤労者の統計を分析した、スイスのルツェルン大学のサイモン・ルーチンガーによれば、1週間に33時間が適正だという。
幸せを感じる年収
答えは「75,000ドル」。
お金があれば幸福が買える──ある程度までは。(2002年のノーベル経済学賞を受賞した米国の心理学・行動経済学者)ダニエル・カーネマンとアンガス・ディートンは、「Gallup-Healthways健康指数」を分析してこう結論した。
※1,000人の米国人を対象にしてGallup社が行った45万件にのぼる調査データを、「人生の評価(Life evaluation)」と「主観的な幸福感(Emotional well-being)」について分析。論文によると、前者は年収と比例するが、後者については、年収75,000ドルまでは収入に比例して増大するが、75,000ドルを超えると比例しなくなるという。
幸せを感じる子どもの数
答えは「1人」
子どもをひとり持つと、まったくいない場合よりも親は幸せになるという統計は多い。しかし、子どもの数はアイスクリームの数とは違って、多ければ多いほど幸せになるとは限らないようだ。
幸せを感じる通勤時間
答えは「20分」
スイスの研究者アロイス・スタッツァーとブルーノ・フライによれば、20分は問題ないが、30分をすぎると不満が募ってくるという。
※両氏は、「通勤に1時間を要する人の場合、職場に歩いて通える人と同程度の満足度を得るためには、その人よりも40%多くお金を稼がなければならない」と述べている(日本語版記事)。
引用元: 幸せを感じる年収や通勤時間:統計からの回答 « WIRED.jp.
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いかがでしょうか。国は違っても、同じ時代を生きる人間として共感できる点、参考になるもあるように思います。
こういった情報を元に、人間をより幸せにするための新たな社会制度や事業が立ち上がっていくことを願います。
人類史上、第3の文化の時代へと突入
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人類の脱経済成長期&定常化時代の1度目は、約5万年前から農業が始まる1万年前まで。この時代は狩猟採集生活の中で経済成長はほぼありませんでした。しかし、ここで何が起こったか?というと「心のビッグバン」と呼ばれる現象。つまり、人類が始めて「創造性」を手に入れた時代と言われます。絵や装飾品が一気に作られていった時代です。
また、2度目の経済成長安定期は紀元前8世紀から科学革命&第一次産業革命がおこる約400年ほど前まで。この期間は枢軸時代、精神革命期と呼ばれ、現代の人類の思想、価値観を支える宗教・哲学が多く誕生しました。
このように見ても分かるのですが、人類においての脱経済成長期・定常化時代は「文化」の時代なのです。まだまだ「文化でどうやってご飯を食べていくんだ?」と疑問を持たれることも多い時代ですが、中心軸は経済から文化へとゆっくりと転換していくことは間違いないでしょう。幸せの研究が進み「どこに経済成長のみが人々を豊かに、幸せにするというデータがあるんだ?」と逆に聞き返されてしまう時代に入った感もあります。
ただ経済は「原則」です。ルールです。文化の時代と言っても、なくなることはありませんし、むしろ人々の幸福を支える仕組みとして高度に再構築されていきます。例えば、貨幣経済、ポイント経済(地域通貨含む)、評価経済の3つの潮流がそうですね。
第3の脱経済成長期&定常化時代のあらたな社会制度や事業が、今世界中で雨後のタケノコのように一気に芽を出し、成長を始めています。そんな萌芽を今後もSocial Design Newsではどんどん取り上げていきたいと思っています。
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