日本の大企業でも、3Dプリンタの活用が積極化していきそうです。
パナソニックが金型を3Dプリンタで作り、生産時間とコストを大幅に削減するというニュース。
パナソニックは樹脂や金属の立体物を容易に作れる3次元プリンター(3D印刷機)を家電製品の大量生産に活用する。樹脂部品の生産に必要な金型を同印刷機で作り、生産コストを3割程度削減する。
(中略)
金型は様々な工作機械で金属を削ったり磨いたりして作っている。高い精度と強度が求められるために熟練技能も必要で、通常は製作に少なくとも1カ月程度かかる。新製品を開発するたびに新しい金型が必要なため、製造業大手では金型の費用が年数百億円程度になっている。
パナソニックは3D印刷機を使い、金型の製作期間を半分に短縮して費用も減らし、樹脂部品のコストを削減する。同印刷機の一種で「金属積層造形機」という高性能機で金属の粉を溶かしたうえで固めて金型にする。工作機械メーカーの松浦機械製作所(福井市)などと共同開発し、多くの特許も取得している。
住宅関連機器を主力とする社内カンパニー「エコソリューションズ社(ES、大阪府門真市)」と子会社のパナソニックエコシステムズ(愛知県春日井市)がコンセントや換気扇のファンなどの金型を生産し中国やタイなどにも輸出する。ESは金型が約5000個あるが、半分近くを3D印刷機で作りたい考えだ。
同印刷機を使えば、樹脂の冷却時間を短縮できる特殊な構造の金型を作れるため部品の生産性が高まりコストも下げられる。ドライヤーやシェーバーなど他カンパニーの家電品にも広げていく。
これは、「プロトタイプのスピーディーな生産」というこれまで使われてきた利用方とは違い「大量生産の工程に3Dプリンタを使う」という取り組みです。
簡易金型を3Dプリンタで作り、アイスクリームのプラスチックスプーンを量産するというような取り組みはありましたが、いよいよ家電部品や自動車部品などでも利用が積極的に行われていきそう。
3Dプリンタで作る金属は、金型で作った強度の80%のところまできており、日本のモノづくりのメインストリームにいよいよ3Dプリンタがのってこようとしています。
デザインの再設計が本質
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今モノづくりが、あらゆる側面で変わってきています。今回ご紹介したように、大量生産に3Dプリンタが積極活用されていくことも含めてです。
ただそんな中でも、その変革にも「本流」と「支流」がある。私は、大量生産の3Dプリンタ活用は、あくまで「支流」だと思っています。
この21世紀のモノづくりの革命の本質は、「デザインの再設計」です。
ただそれは、これまで面白がられてきた単純な「奇抜性」を意味しません。つまり、3Dプリンタで作ったファッションショー用の奇抜な服や靴は象徴ではないということです。
では、どういうことかというと製品のパラダイムを良い意味で変えてしまうようなカタチや色合い、醸し出される雰囲気や背景の物語がモノづくりに必要とされていくのです。
デザインの考え方そのものを、21世紀版にリデザインしていく必要がある。個人的にはそう思っています。
もっと言うなら、無数に生まれる1万個市場へのアプローチこそが重要です。例えば、ここに日本の大企業がコミットできるのか?というところが、1つの重要な課題でしょう。