本日、拙著「ワーク・デザイン これからの〈働き方の設計図〉」が発売となりました。
ーー「はじめに」よりーー
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……
「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。
【ワーク・デザイン これからの〈働き方の設計図〉】
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本書は、「これからの働き方」「仕事の未来」について書いた書籍ですが、一番の目的は「働く希望を日本中、世界中に『再配分』すること」です。
「一億総ブラック企業」というワードまで飛び出し始めた社会の中で、私たちの「働き方」は一体どうなるのか?
これまでの「成功事例」「成功者像」「理想の人生」は過去のものとなります。そして、これまでの延長の「働き方」の中に、私たちの21世紀の働き方は存在しません。
では、一体どのような働き方となるのか?
給料も安くなる一方だし……理想のキャリアは…正直見えない…。更に悪くなるのではないのか?
いえいえ、そうではありません。結論から言えってしまえば、社会の底流に流れる「価値観」が変わり、「ワークプロセス」が文明的大転換を開始した社会で「働くこと」は、再び私たちの希望となりえるのです。
リーマンショック移行言われ続けてきた文明転換は、具体的な「働き方の転換」から始まります。さあ、いよいよ新しい時代の到来です。
【目次】
◆Chapter 1
社会が抱える「働く」の問題点
【ロボット革命が仕事を奪う】
ロボットが人間を超える日
中小企業でも導入できる格安産業用ロボット
ファストフード業界の仕事革命
医療分野の仕事もロボットに代替される
メディア業界は「コンテンツ自動生成時代」へ
ホスピタリティーの世界にも効率化の波が押し寄せる
「機械との競争」について考える
機械ができる仕事を人間が行うという「悲劇」
【極限的に進みゆくグローバル化】
崩れる比較優位理論
クラウドソーシングを使わない企業は存続できない
「時給100円」の衝撃波
「ナレッジファンネル」から考える、これからの仕事
チェス盤の法則でテクノロジーの進化を思う
【経済拡張という幻影】
そもそも「成長」とは何か
増え続ける「大企業」の存続コスト
企業が「副業」を支援する時代
成長産業はもはや雇用を生まない
事業の寿命は短くなり、人間の寿命はますます伸びる
「パラレルキャリア」という生き方の必然
変化する社会的評価基準
◆Chapter 2
21世紀の「価値観」のトレンドとは
【「社会貢献競争」という大潮流】
時代の底流をなす価値観の重要性
東日本大震災後に定着した「10の意識」
「働く」の3つの価値観
社会の中心的価値観の変化
「経済競争」から「社会貢献競争」へ
【「働く」の意味が進化する】
知性は外部化され、倫理は再び内部化される
地球上の人々の「脳」がつながっていく
これまでの「豊かさ」とこれからの「豊かさ」
21世紀の仕事の哲学「大衆と共に」
社会的成功者が広め続けた「通俗道徳のワナ」
「管理」の衰退と、これからのリーダーシップ
社会が評価する5つの価値観基準
「働く」は一体どこへ向かうのか?
働くことの根源的エネルギーは、自己実現欲求と貢献欲求へ
◆Chapter 3
「働く」の構造はこう変わる――これからの起業と事業のコンセプト
【新しい働き方のインフラ】
20世紀と21世紀の「働く」の全体像
働き方を変える「21世紀のインフラ」が続々登場
【メイカーズ革命――誰もが生産者になる】
世界に広がる「メイカーズ・ムーブメント」
家庭用3Dプリンタで何を作りたい?
アイデアをカタチにする、モノづくりプラットフォーム
【デジタルファブリケーション――崩れる生産手段の私有化】
49ユーロで靴ブランドを立ち上げる
3Dプリンタの材料に「木」も登場。林業再生の可能性
【オープンイノベーション――内外の集合知を結集】
ローカルモーターズと3Dロボティックス
【リーンスタートアップ――素早く小さな進化を繰り返す】
ドロップボックスの起業法
【O2O――リアルとネットを高度に結び付ける】
ネットからリアルへ。未来型の地産地消モデル
地元のシェフの料理を1食分から配達
【クラウドファンディング――21世紀の金融プラットフォーム】
クラウドファンディングの広がりとその可能性
「資金調達」もO2Oの時代へ
クラウドファンディングが新たな仕事を生む
モノづくりに特化したクラウドファンディング
【クラウドソーシング――あらゆる業務が代替される】
事業の中心的業務も集合知で進める時代へ
仕事の9割がクラウドソースできる社会――私たちの仕事は何なのか?
【ソーシャルイノベーション――社会に希望の変革を】
メイカーズ革命×ソーシャルグッドは相性がいい
マイクロタスクと貧困をなくすためのクラウドソーシング
【協会モデル――共感のコミュニティーが大企業と組む】
日本唐揚協会に学ぶ、パラレルキャリア時代の協会運営
【コミュニティー――緩くつながり、滑らかに重なる】
コミュニティーが経済の出発点となる
セーフティーネットとしての新しいコミュニティー
【ソーシャルスタートアップ――チームで始めよう】
「コワーキングスペース」で温泉が職場になる
ソーシャルスタートアップという新しい起業のカタチ
知識社会において、チームが大きな力をもたらす
チームにおける合意形成のポイント
【消費社会から生産社会へ】
4つの個人とパワーシフトの本質
◆Chapter 4
「パラレルキャリア」という働き方・生き方
【なぜ、パラレルキャリアなのか?】
約45%の人が、パラレルキャリアを望んでいる
貨幣から評価へ――評価経済社会への移行点
「江戸時代の働き方」が高度に復活する
【パラレルキャリアのルール】
21世紀型キャリアを考える――パラレルキャリアマトリックス
パラレルキャリアを始めるための5つのポイント
パラレルキャリア時代の精神の置き場
そもそも、なぜ事業は失敗するのか?
【パラレルキャリアを始めよう】
大人版キッザニアで、ずっと続けたいことを見つける
今度の週末はボランティアをしよう
自分の特技をワンコインで提供!
月3万円ビジネスというパラレルキャリアコンセプト
◆Chapter 5
人類と社会の近未来を考える
【あらゆるものが民主化される】
常に「個」のために存在する組織
お金も民主化。企業や個人がお金を発行する時代
働くモチベーションを変える「伝播投資貨幣」という未来
【融合するローカルとグローバル】
軍事競争下の「疎開」と社会貢献競争下の「移住」
田舎と都会、コミュニケーションと決定
グローバルとローカルが「生産社会」で融合
タッチスクリーン上でモノに触れられる!?
【非貨幣経済圏の拡大】
衣食住が「無料」になる日
シェアによって広がる「贈与経済圏」
【国家の役割と人間の再定義】
テクノロジーがもたらす「不死」と「唯心論」
新たな社会保障で「貧困」の撲滅を
「国民所得倍増計画」から「国民生活幸福化計画」へ
人類はホモ・サピエンスからホモ・パックスへ
100年前の「100年後の未来予測」
「問題解決&過去分析」から「機会発見&柔軟適応」へ
引用元: ワーク・デザイン | 阪急コミュニケーションズ – 書籍.
21世紀の「働く」の構造がやっと見えた!!!
本書では、これからの働き方の新構造を次の6つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・タスクデザインについて
・キャリアデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
そして、これらの7つの構造は全体を体系的に捉えなければ、残念ながら本質は見えません。それぞれのステージを細切れに見ていても、これまでの延長線上の思考で捉えてしまうので「働き方が変わる」なんて、全くと言っていいほど分からないのです。
例えば、具体的に各ステージをバラバラに捉えてみましょう
最初の「新しい働く価値観」だけを捉えようと思えば、アウトローに見られます。「ソーシャル・ビジネス…まぁ年代によるよね…」「好きなことをやる、か…。キミには良いかもしれないけど、私には無理。家族もいるし…」と非現実的と思われます。
また、消費社会などの「社会の文脈」で捉えようとすれば、話が大きくなりすぎ、なんとなく抽象的な議論に終止しがちです。「社会はこう変わる!」と言われても、自分たちの生活、働き方が具体的にどう変わるのかが分からないので、基本スルーです。
そして、ワークプロセスの転換として、メイカーズ、クラウドファンディング、クラウドソーシングの話をしても「新しいベンチャー企業が生まれたぞ〜!」という話で終わってしまいます。つまり、一部のビジネスマンや経営者が、20世紀型の経済的文脈でこの変化を捉えようとするだけです。
組織形態の変化などを言うと、ノマドワーカー…みたいな話に終止してしまうのです。
しかし、しかしです。
この7つの構造を重ね合わせ、掛け合わせると…。なんと「あらゆる人の希望となりうる21世紀の働き方」が突然立ち現れるのです!
今本当に大事なのは、多くの働く人々にとって実現可能なより良い21世紀型の働き方、そしてそれを支える社会的ビジョンなのだと思っています。
何度も言います。「働くこと」は、再び私たちの希望となりえるのです。それを本書で具体的に示しました。
ご興味のある方は、是非ご一読ください。