クラウドソーシング大手 ランサーズ秋好さんの刊行記念イベントにゲスト出演してきました。
私自身たくさんのことを学ばせていただきましたが、中でも面白かったトピックの1つは「ランサーズ予算」の話。
私が、秋好さんに「2020年、クラウドソーシング上のヒーローは、どういう人になりますか?」という質問の中で返ってきた回答に入っていた話です。現在、ある企業が従業員に「ランサーズ予算」なるものを「1人20万円」つけているということでした。
しかも、毎月その予算を必ず使い切るように指示しているそうです。実は、私もクライアント企業にそれを提案させていただいたことがあります。なぜなら、これからはクラウドソーシングマネジメント、バーチャルコラボレーションマネジメントが、会社にとって最重要項目の1つとなるからです。
それにしても、「1人毎月20万円、必ず使い切る」というのには驚きました。金額的に考えても、そこそこ規模の会社ではあると思いますが、もうこのような事例は出てきているということですね。
私は、毎月1人20万円とまでは言いませんが、1人数万円単位でも「クラウドソーシング予算」をつけていくことを勧めます。そうすることで、そのスタッフが自身の強みやクリエイティブに集中しやすい環境が作れます。
また、その利用方法については毎月社内でフィードバックし、そのノウハウを蓄積していくのです。今後、クラウドソーシングマネジメントこそが、企業の価値創造の源泉となっていくことは間違いありません。
研究開発機関がないから、プログラミングできるスタッフがいないからなどの理由で、社内における新しい価値創造、イノベーションに挑戦できなくなる企業は生き残っていくことはできなくなるでしょう。
「価値の発明」にクラウドソーシングを使う時代
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クラウドソーシングを利用する理由は、大きく言えば2つあります。その1つは業務効率を高めることです。例えば、より速くより安くWEBサイトやチラシを作ること。また、バーチャルアシスタントなどの導入によって、「自身のコアスキルに集中する環境を整えていくこと」などが入ります。
【参考】
・バーチャルアシスタントの重要性。「バーチャルコラボレーションマネジメント」という新領域
もう1つは「価値の発明」にクラウドソーシングを積極利用することです。これが今後特に重要になってきます。分かりやすく言えば、商品、サービスの開発であり、創造性を発揮するため攻めの意味でクラウドソーシングを利用するとことです。これからはイノベーティブに価値を発明することこそが大切です。
【参考】
・ジャガイモスタンプで作った包装紙から「価値の発明」を見る
例えば現在、マーケティングの中心は、「どうやるか?」ということよりも「何をやるか?」に移っています。更に言えば、単純に自分たちの強みを活かそう!という「改善の発想」だけでは足りなくなっているのです。
ラーメン屋さんがあったとしましょう。そしてそのお店の長所は「煮卵」。いつも「すごく美味しい!」と言われる卵が自慢のお店です。これまでの発想であれば、この煮卵をトッピング無料にしよう!という発想がマーケティングでした。そうすれば売上げが伸びるはず!と考えるわけです。
しかし、これからはこれだけでは難しくなります。煮卵が強みだとしても、更なる「価値の発明」に挑戦していかなければなりません。具体的に言うなら、麺についての更なる研究が必要かもしれませんし、お客様の座席に関するイノベーションが必要かもしれません。
そうなってくると、きっとこう思われる方もいるでしょう。「麺についてはまだまだ詳しくないし、座席なんかについても自分は専門じゃないから、まったく分からない…。また、それって短所是正なのでは?また、そのあたりってお金をかけられる大手がやることなのではないか?」
ちなみに、短所是正と価値の発明は全く別物です。短所是正は、マイナスをゼロにもっていくことであり、価値の発明は、新しい価値を試行錯誤して生み出していくこと。
その価値の創造において、今後必要とされてくるのがクラウドソーシングです。現時点で、そのような方がクラウドソーシング上にいるか分かりませんが(笑)「麺についての専門家」、また「出店や内装、インテリアなどのプロ」にその辺りをサポートしてもらうわけです。
【参考】
・ネット上にブレインパートナーを持つ時代に。クラウドベースのコンサルティングサービス「CrowdConsult」
いずれにせよ、クラウドソーシングの進化・発展により「価値の発明」に関する投資が、どこの会社・個人でも行いやすくなってきています。
そのような意味においても、クラウドソーシングマネジメント、バーチャルコラボレーションマネジメントは、経営上の最重要課題の1つとなるのです。
【Social Design Newsから本が出ました】
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
Amazonの「なか見検索!」で一部内容を読めるようになっていますので、ご興味のある方はこちらからご確認ください。【書籍】ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」