photo credit: Jack Fussell via photopin cc
アメリカの失業率の低下は、フリーランスが牽引しているのですよ、という件。
Obama: Is the job of the future a freelance one?
現在、アメリカの労働人口の3分の1はフリーランスとなっています。人数にして約4,200万人です。金融危機以降、このフリーランス経済の大発展が、アメリカ経済を引っ張っています。
これは、クラウドソーシングなどのサービスの拡大、またモバイル機器の普及、つまり「テクノロジー」がもたらした恩恵という面もありますが、企業で働いても満足な収入が得にくくなっているというのも理由の1つでしょう。
米国において、平均時給が約7,7〜13.8ドルという低賃金の仕事は、リーマンショック時には全体の20%程度だったそうですが、その後、景気回復時に生み出された仕事の60%までもしめるようになっています。
つまり、仕事はあっても、就職して得られる仕事だけではワーキングプアになってしまうという現状なわけです。
日本においても若者のワーキングプア率は上昇傾向にあります。
黒い都道府県は40%以上、グレーの都道府県も30%以上の比率です。20代で働いても自分の生活を成り立たせることのできないワーキングプアの比率がこれほどまでに高まっています。
そして、この地図が数年後には真っ黒になることももはや見えており、この波紋は広い世代に広がっていくのでしょう。
より良い社会を作るのは、この波に飲まれた人達
photo credit: daystar297 via photopin cc
年収300万円時代はあっと言う間に訪れ、年収200万円時代は迫っています。しかし、年収は下がっても、テクノロジーやそれに伴う豊かな生活、人間らしい生き方をはやく手に入れる人達は、この波に飲まれた人達です。
年収は100万円、200万円だけど、今で言う年収500万円から600万円と同じ豊かさを感じて生きられる社会です。結果、多くの人が21世紀型の生活は、ここにあったのかと気づくわけです。
現在のテクノロジーや新しいサービスの登場は、多くの人が一部の人達に巨富をもたらすだけであり、貧富の差は広がるばかりだ!と捉えたくなる気持ちも分かります。しかし、中長期で見ればそれらのテクノロジーやサービスの登場で最も恩恵を受けるのは、今、キツい思いをしながら生活している人達です。
メイカーズの潮流、クラウドソーシングの潮流、クラウドファンディングの潮流、いずれにしても一部の使える人だけのものであると捉えられがちですが、これがより深く根付いた社会は、むしろ今大変な思いをしている人に恩恵を与えるシステムになります。
それが分かる事例を今後、Social Design Newsでどんどん取り上げていきたいと思っています。
更に言ってしまえば、ロボット、モノのインターネット、グローバル化よりも巨大な潮流は、”超長寿社会”です。
なぜなら、道具や環境の変化ではなく、”人間存在そのものを変化させゆく”潮流だからです。くしくも人類は、21世紀の高度な情報革命とスマートマシンの登場で、”人間存在の再定義”をせざるおえなくなります。仕事が奪われるだけでなく、人間の本質が浮き彫りになり、20世紀とは違う人間観が登場します。その課題に合流する議論が、この超長寿社会です。
これまでの企業社会では、30代〜50代にかけて、ステータスや地位、お金を稼いだ人が、良い人生という捉えられ方をしてきました。しかし、平均寿命が100歳に近づく社会において、今後徐々にその価値観が変化していきます。
具体的にどのように変化していくかというと、20代〜50代などは前哨戦にすぎず、60代〜90代の人生がどのような人生であったかが、その人の人生の評価につながる世界です。
マラソンにおいても、10キロ地点、20キロ地点よりも、30キロ地点、40キロ地点、そしてゴールが大切です。こんな当たり前のことも、経済社会の価値観の中で煙に巻かれてきたのが現代です。
ともかく、社会はより良い方向へと着実に向かっていると確信しています。