「今後、統計的に”働き方”をどのように捉えていくか?」これが今、世界的課題になりつつあります。
こちらはハーバードビジネスレビューの「どこに全ての自営業者がいるのか?」という記事。
Where Are All the Self-Employed Workers?
上のグラフから分かるようにアメリカでも自営業者は長期トレンドで明らかに減っています。そして、下の図のようにそれを代表するような農家や建設関連の事業者は減少傾向があります。
一方こちらのデータは、従業員のいない事業の数の伸びを表すグラフです。
そして、面白いのはこちら。メンタルヘルスのカウンセラーやフィットネスのインストラクター、そしてなんとミュージシャンや歌手が増えていっているのです。この最不況業種、食べていけないと言われる音楽業界なのにも関わらずミュージシャンやシンガーが増えている…。この記事の中では、これは一例にすぎないだろう、としています。
働き方のスタイルが変わり、価値観が変わり、その様相は着実に変化を遂げています。これまでのように、正社員か派遣か、アルバイトか自営業かなどの枠では働き方の全体像は捉えられなくなっています。
仕事のロングテールが始まった
ロングテールとは、クリスアンダーソン氏が世に広めた概念です。年に1冊程度しか売れない本がAmazonの巨大な売上げを支えており、それをグラフで示すと長いしっぽのように見えることからそう名付けられました。
“モノの流通”という側面においてロングテール現象が起こるようになったわけです。
そして、現在デジタルファブリケーション革命において、モノの製造におけるロングテール現象が起こっています。書籍「Makers」にもあるように、ものづくりの多様性、複雑性、柔軟性がフリーになり多品種適量生産が可能になりました。
そして、この延長にある真の革命は「仕事のロングテール化」です。
例えば、ワンコインで自分のスキルを提供するココナラのサイトをみてみると、今や14,000以上の仕事が登録されています。パワポ作成から営業リスト作成、お土産相談からダイエット相談まで様々です。
一方、大手クラウドソーシングサイトにおいては、登録されている職業は幾種類の大きなカテゴリーによって表示されています。デザイン、WEB製作、プログラミング、ライティングなどです。こう見ると、仕事はそんなにロングテール化していないようにも見えます。
しかし、”働き方”という切り口で見てみるとどうでしょうか。大手クラウドソーシングサイトに登録されている方の多くは、パラレルキャリアで収入を得ている人達です。
つまり、どこかの業界のどこかの会社で働きつつ、クラウドソーシングという方法を取り入れ収入を得ているということです。そういった意味では、”働き方のロングテール”と言ってもいいわけです。
このロングテールという概念の本当のインパクトは、仕事、そして働き方において発揮されます。その理由は、仕事のロングテール、働き方のロングテールこそが、これまでにおける最大のソーシャルインパクトを起こしていくからです。