企業が従業員に対して行う支援(福利厚生等)を削減する傾向が強まる中、コーヒーチェーン大手スターバックスが、従業員の大学の学費を負担するサポートを始めます。
Starbucks College Achievement Plan
米国スターバックスに勤める従業員は約13万5000人ほどで、大学の学士号を持っているの人は約4分の1程度。また、現在大学に通っていたり、大学入学を希望する人は全体の70%にも及ぶそうです。
そこで、スターバックスはアリゾナ州立大学と提携し、オンラインでの大学の学士号取得を目指すに従業員に、授業料の一部を支払うプログラムを開始します。週20時間以上働く従業員が対象なので、非正規雇用を含め幅広く適用されます。
この最大年間約100万円ほどの授業料を負担してもらえるプログラムの参加者は年間1万5,000人〜2万人となると予測。例えば1万5,000人に30万円の授業料を支援した場合、年間の支出は45億円です。すごい金額…。
目的は当然ながら人材の確保ですが、学費を払ってもらったとしても、スターバックスで働きつづけなければならないという義務は生じません。
しかし、当然ながらスターバックスに恩義を感じる従業員は増えますし、会社を辞めていったとしても、スターバックスを支持し続けたいと思う人は増えるでしょう。
本気で公益性を追求すると効率が良くなる時代
PHOTO: happy people from Shutterstock
「企業が生産性を追い求めるのでれば、高い社会性を追求した方が良い」
こう言うと、これまではCSR(企業の社会的責任)的な文脈で捉えられることが多くありました。
しかし、これかからはちょっと違います。会社の表面的な見え方を良くするために、片手間で何か社会貢献をするということではなく、企業の存在意義をかけて、公益性、高い社会性を追求していく必要のある時代へと突入しようとしています。
ブラック企業と呼ばれる飲食チェーン大手の人手不足の問題は、日本においても大きな話題となりました。その中で、世界を見渡せば、スターバックスのような思い切った動きも出てきている。
「企業のための人ではなく、人のための企業へ」
このような理念が、額縁で掲げられ、いつのまにか忘れ去られそうになっている今、新たな視点を持ってこの理念が見つめられようとしています。効率を求めようとするなら、本気で社会性を追求しなければならない時。経済社会における真の民主化は、ポスト資本主義社会の中で実現されていくのです。
その鐘の音が今、世界中で鳴り響こうとしています。