世界には目が見えない人が4000万人もいますが、点字教育は驚くほど普及していません。
ジョージア工科大学のサド・スターナー教授は、ウェアラブルデバイスによって、驚くべきスピードで点字が習得できること証明しました。
Wearable computer gloves ‘help teach braille’
文字の入力パターンに応じた合図が、手袋を通じて振動で送られてきます。それによって身体的に学習していくのですが、受動的な学習、つまり注意力が低い状態でもスキルを習得することができる。ここが、この学習方法の注目すべき点です。“触覚的な半自動学習”といったところでしょうか。
先日、小さな信号を指に送ることで、ピアノを全く弾いたことのない人が、超スピードで曲を弾けるようになるというニュースを紹介しましたが、それと同じ仕組みです。
【参考】
・ウェアラブルデバイスを使って超スピードで新しいスキルを習得する
点字は、年齢を重ねてから学ぼうとしてもなかなか難しいらしいですが、このように簡単に習得できるシステムが広がれば、多くの人に恩恵をもたらすことでしょう。
あらゆる身体的問題が”個性”となる時
PHOTO: pair of legs from Shutterstock
人間には身体性に多様な個性があります。足が速い人、力が強い人、目がよく見える人、虫歯が一本もない人…。
これまで人類は、それぞれの身体的特性を補う技術を開発し、それを生活にまで深く浸透させてきました。結果、それまでは障害と呼ばれたようなものも”1つの個性”とまで昇華させる事例をいくつも作ってきています。
例えば、目が悪い人がメガネをかける。このカルチャーは、私たちの社会に深く浸透しています。よって、メガネは今や1つのファッションであり、目が悪いことが身体的な障害という雰囲気はほとんどありません。
これからの技術革新の方向性の1つは、”アシスティブテック”、つまり、人間のあらゆる身体性を個性に昇華させることを目的に進んでいく。
誰もが等しく年をとり、必ず身体性の限界、また問題にぶち当たります。どんな状態、状況もテクノロジーによって、個性と認められるような世界にする。これこそが、ウェアラブルデバイスのこれからの1つの役割でしょう。