職場のスタッフの精神的な健康状態はどうなのか?こういったところが当然のようにケアされていく社会になることに期待したいところ。
ヘルスケアテクノロジーの開発を手がけるORCASがリリースした「MoodHacker」は、精神的なストレスを分かりやすく記述し、うつ的な症状を軽減、より健康的な働き方のヒントを与えてくれるアプリです。
同社は、このアプリを使って、企業に向けた福利厚生サービスを展開し始めています。例えば、スタッフは毎日の気分を10段階評価で記述。
ウォーキングをしたか、友人と電話をしたり楽しい時間を過ごせたか、また、今日良かったことを3つ書き出したかなど、気持ちをポジティブにするための行動を記録します。
気持ちが落ち込んでいる人には、それをケアするため映像や記事などをレコメンドもしてくれるそう。もちろん心理学などの科学的な知見に基づいて提供されていきます。
一方、記述されていく社員のプライベートな精神状態は、上司や経営者側が直接見ることはできません。また、このサービスを使わなければいけないというルールもありません。あくまでも、社員の福利厚生的な扱いであり、心のケアの道具として使いたい人は使うというスタンスです。
こういったサービスが普及し、情報が広く蓄積されていけば、企業の「精神衛生度ランキング」も作れそう。「働きがいランキング」や「ブラック企業ランキング」はありますが、うつ病の多い職場、少ない職場といった視点で定量化された全国的な統計やランキングはありません。このようなトレンドが進むと、私たちに、また少し違った職場の評価基準を提供してくれることでしょう。
新たに生まれる関係性の課題
PHOTO: Working Together in Office from Shutterstock
職場における人間関係の良し悪しが、精神衛生度に大きな影響を与えていく。それは誰もが認めることです。
つまり、職場における精神衛生度は、人間関係に大きく依存します。
21世紀の職場環境、また働き方は着実に変化を遂げていく。組織はより小さくなる傾向にあり、オンライン上でコミュニケーションも増えていきます。具体的にはチャットやソーシャルメディアを利用したコミュニケーションが必要になるケースもあります。
リアルなコミュニケーションが緻密で得意な人でも、オンラインになったとたんなかなかうまくいかない、ということも耳にするようになりました。
いずれにせよ、職場環境に合わせ成熟したコミュニケーションが必要になっていく時代。職場の精神衛生度や社内のコミュニケーションマネージメントなど、これまでと少し違った概念によるフォローが必要となっていきそうです。