さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となっていく。
ベネッセが企画している「未来の仕事図鑑」が興味深いので、将来現実的に登場し、人気を集めそうな職業を8つピックアップしてご紹介したい。
地産地消&健康的で美味しい料理を提供する「ポップアップシェフ」
好き嫌いが多い、病気を改善したいなど、食べる人のニーズに合わせて、現地の食材を利用し素敵な料理をふるまうのが「ポップアップシェフ」。たくさんの食材が手に入りづらい地域の場合でも、その限られた食材のよさを最大限生かせるよう、さまざまな調理方法を用いて、素敵な料理へと変身させている。
これまで、地域のシェフと言えば、飲食店経営者。もしくは、大手チェーン店で作られた食材を調理するスタッフだった。しかし未来は、そういった旧来の枠組みを超えて、人と地域に合わせ「食」を最適化し提供するスペシャリストが登場するかもしれない。
「何が食べたいか」から発想する時、現代においてはあるのは、家で作って食べるか、購入するか、外食するならどこがいいのか?という選択肢だ。しかし、未来はそういった選択肢ではないかもしれない。新たな食の選びの枠を作り、サポートするのがポップアップシェフだ。
歴史を保存・活用するためのスペシャリスト「歴史保護士」
最新技術を駆使し、世に残る歴史的建造物を保護していく「歴史保護士」。さまざまな建造物の状態を把握し、テクノロジーを駆使したツールを活用することで、まるで医師のように具体的にどこがどのように悪いのか診断することができる。自然災害に関する予測情報も取り入れることで、事前に適切なメンテナンスを行うことが可能になる。
今、歴史を残す人ことを仕事にする所と言えば、自治体、もしくは地域の非営利団体だろう。また、時に出版社のようなところがそれを支援したりもする。
歴史を保存する支援はもちろん、それに関わる仕事をする人達をテクノロジーでサポートし、新たな付加価値の提案する専門家は必要になるのではないか。歴史に興味を持つ人は多く、それを高度に保存、活用する仕事は、広く人気を集めるかもしれない。
夢を叶える支援をする「スペシャルサポーター」
「かけっこで一番になりたい!」といった身体的なものから、「政治家になりたい!」という将来の夢に至るまで、子どもたちが持つさまざまな要望をかなえるために、適切なアドバイスをしてくれる「スペシャルサポーター」。ぼう大な過去のデータを解析し、その人にとって何が必要なのか、何が足りないのかを計算。もっとも夢に近づける道筋を示してくれる。
夢を応援することを仕事にする人は、今でもいる。カウンセラーやコーチ、コンサルタントなどである。しかし、それらの境はより曖昧になり「願望実現」「夢の実現」といったところに焦点が当たり、新たな職業が生まれてくる可能性がある。
「夢の実現のお手伝いをしたい!」と願う人は多い。きっとそんな名前の職種があれば、人気を集めるになるに違いない。
空いている建物を観光名所に変える「廃墟パーククリエイター」
廃墟(はいきょ)となってだれも寄りつかなくなってしまった昔からある建物を買い取り、テーマパークにつくり変える仕事が「廃墟パーククリエイター」。古くからの建物を大人も子どもも楽しめるテーマパークに変えることで、歴史や文化を身近に感じながら、大切に守っていくという心を養う目的もある。テクノロジーの力を借りながら、世界中に新しい観光名所をつくるため、日々次のテーマパークの構想と、アトラクションの制作にはげんでいる。
日本においても、空いている建物は益々増えていく。よって、それを地域の観光名所にアップロードするためのクリエイターという職業は、今でも十分現実性を帯びている。現代で言えば、建築家やクリエイター、デザイナー等がそれぞれに実践していたりもするが、具体的な職業名として認知される未来が来る可能性はあるのではないか。
クリエイティブを取り入れ、地域を活性化させながら皆に喜んでいただく建築の仕事。大いなるやりがいを感じるに間違いない。
遠隔医療を高度にサポートする「ホスピタルデリバリー」
患者が病院に行かなくても、医者がバーチャル上で診察してくれるようになる。それにより寝たきりの人でも楽に一流の診察が受けられるのだが、病院に行かなくても治療を受けることを可能にしているのがこの「ホスピタルデリバリー」。医学的知識や技術を身につけており、実際に現場に出かけて、医者のバーチャル診断にあわせて治療を行う。常に小型・全自動の医療ロボットと一緒に行動している。
予防医療を含めて、テクノロジーを利用した高度な遠隔医療をサポートする人材は必須になりそうだ。今は、看護師や介護士などがその役割を行っているわけだが、それがより高度化して広がっていく。人々の健康を多面的にサポートする”地域の健康師”とも呼ばれそうな仕事が、必要とされるに違いない。
仕事とスキルを結びつける「ワークコネクター」
世界中の人々がそれぞれ自分のスキルを特化して活躍する時代。ありとあらゆるスキルが存在し、それを上回る数の仕事が眠っている。それらのスキルを持つ人と仕事をつなぎ合わせ、適材適所を図るのがこの「ワークコネクター」である。日夜、世界中の人々のスキルを収集・研究し、一方で解決を待つ仕事のリストを眺め、従来では考えられなかったようなマッチングを成立させることで、より社会にインパクトを与えるようなものを生み出していく。
21世紀は、再び職人時代に向かっている。江戸時代のごとく、数多くのニッチな職人が生まれる21世紀は、それを具体的な仕事と結びつける支援が必要だ。
今で言えば、キャリアカウンセラー等の仕事があるが、それをより広い意味で捉え直し、その地域や会社に眠っている課題と結びつけて解決するお手伝いをするわけだ。「仕事やキャリアをサポートする仕事」は、時代の背景もあり、益々やりがいを感じるようになるだろう。
伝統技術を保存・活用するためのスペシャリスト「伝統継承士」
過去の伝統技術をまとめている大量のデータベースの中から、ユーザーが必要としている情報をいち早く見つけ出し、提供してくれるのがこの「伝統継承士」。新しいことをする時に伝統技術の手法を振り返り、よりよい方法を提案したり、伝統技術を学びたい人のためにわかりやすく説明もしてくれる。また、日本各地の後世に残すべき伝統技術を調べ、自身の手でデータを作成し残していく大切な役目も担っている。
伝統技術を残す、継承するだけでなく、社会のあらゆるニーズに伝統技術を当てはめる仕事という発想は重要だ。製造業は今、情報革命によって新たなフェーズに移行している。3Dプリンタなどの新たな技術と伝統技術の組み合わせによって、これまでにはない新たな価値の提案が可能になっていく。それをプロデュースしたり、ディレクションする仕事は、益々重要になっていく。
学びを支援するスペシャリスト「学習スタイリスト」
学校で習った学習内容の理解度は人ぞれぞれ。小型ロボットを用いてその理解度を分析し、一人ひとりの学力アップに必要な教科・単元別の問題を出してくれるのがこの「学習スタイリスト」。答えを教えてくれるというよりは、つまずいているところを説明して自分で答えを導けるようアドバイスしてくれる。一人ひとりの学習方法の確立もサポートしてくれるので、自分で勉強しながら学力アップができるようになる。
学習するためのサービスやツールは、どんどん増えている。また、学習効率をあげるための研究も盛んである。
しかし、一方それを自分に最適化して活用していくことは至難である。学習スタイリストはそれを具体的にフォローする。一人一人に最適な学習方法を計画・設計し、そのための環境作りまでをサポートする仕事は重要になるはず。現代は生涯学習時代であるため、子供から大人まで、個別に学習を支援するマーケットはこれから益々熱くなる。
【クエスチョン】
・一生涯働く時代。2030年、自分はどんなことを仕事にしたいか「未来の仕事図鑑」を参考に考えてみよう!