以前、米経済誌フォーブス(Forbes)などにサービスを提供している「自動生成コンテンツ会社」ナレーティブ・サイエンス社(Narrative Science)について、記事を書きました。
今回は、「記事」だけでなく「本」も自動で書かれてしまう時代になったという話です。INSEADビジネススクールの教授のフィリップ・M・パーカー(Philip M. Parker)氏が書いた本はこれまでに20万冊以上。
「地球史上最も多くの本を出版した人」だそうですが、こちらコンピューターアルゴリズムがネット上の情報を収集し、書かれていく本のことです。目次、レイアウト、脚注なども完全自動化。自動で本を書くソフトの使い方が、上の動画で示されています。
書かれる書籍は、買う人がいったいどれだけいるのか?というようなニッチな本が多いよう。例えば「6×9フィート以下の洗浄可能な浴室用 絨毯の2007年~2012年市況予想」のような本。おもしろいですね〜(笑)ちなみに売れる本でも数百部とのこと。
NYタイムズは「ワーストセラーを何万と積み上げることで、それなりの売上げを生む出版のロングテールだ」と記事にしています(笑)また、書籍にかかるコストはというと、電気代12セント…。それで、これまで10万冊以上を販売しています。
電子書籍の時代、出版という作業は、ここまで自動化できるようになりました。「効率化」「利益追求」ということを考え続ければ、たどり着くところはここですね。
ビジネスは芸術に限りなく近づく
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経済成長時代が終わり、文化の時代になるという話をよくしますが、このような事例を見ていただいても「ああ、末期的だな…」と思う方が多いと思います。「労働生産性アップ!」という議論は、もはや社会の中心課題ではないということです。
また、言語化できる分野、論理的な分野の競争力は、激減していっているとが分かりますね。この領域はあまりにも、共有スピードが速く、差別化は益々難しい分野となっていきます。
経済社会の担い手である会社や個人すら、「言語化しにくいところ」を意識的に強みにしなければ立ち行かない、ということです。つまり、あらゆる人がアーティストとなり、あらゆる会社がアート的側面を持っていくのです。
経済成長期が終わり、価値観の軸が「利害損得」から「美醜善悪」へと徐々に切り替わります。「文化の時代」への突入です。一方、経済社会も、芸術的感性が強みとして認識される時代となります。う〜ん、やはり時代は人類史上第3の文化の時代へと確実に移り変わってきています。
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