さて、ロボットソーシングの流れが、始まってきそうです。
Hey, Robot: Which Cat Is Cuter?
例えば、「かわいい猫の写真」を識別するソフトウェア、アルゴリズムを作ろうとする時、クラウドソーシングのタスク方式でかわいい猫の写真を1件数円で拾い上げ、それに基づいてソフトウェアを改善していけます。
このように人間によるクラウドソーシングを利用し、ロボットの性能を格段に安くスピーディーにアップさせていくことができるようになりました。
私は、ロボットにおけるクラウドソーシングサービスの台頭が、2010年代後半から始まってくると予想しています。それは、タスク方式の単純作業はもちろん、ロゴデザイン、WEBサイトデザイン、チラシにおけるデザインなどをロボットが行うというものです。
歴史はテレワークからアウトソーシングへ、そして近年のクラウドソーシングから次世代のロボットソーシングへと向かう。この流れは止めることはできません。
【参考】
・クラウドソーシング後の世界。ロボットソーシングの可能性
クラウドソーシングの進化の方向性
クラウドソーシングサイトは現時点で”働くインフラ”として認識され始めています。
しかし、一方でいくつかの限界値が見えてきています。その1つは、登録者の「時間の販売」という点です。人には1日24時間という限られた時間しかありません。その時間を利用して働くというのが、現在のクラウドソーシングの基本です。
つまり、一言で言えばこの時間がボトルネックとなり、事業をスケールしにくいということです。
ただ、今後クラウドソーシングはスケールできる事業のサポートにも足を踏み入れていくでしょう。つまり、あらゆる人達がオンライン上でつながりあい、スケール可能な事業を生み出していくということです。またロボットソーシングさえも利用していくという段階です。
「仕事を単にマッチングする」という段階から、「仕事を生み出し、その中からスケールする事業が登場してくる」という段階へ。それがこれからのクラウドソーシングに求められる方向性です。
また、ハンドメイドマーケット最大手Etsyは、ハンドメイドまたクラフト製品に限られたものしか販売できませんでした。つまり、Etsyにいる人達も同じように、自身の労働時間がボトルネックとなり、事業をスケールすることが難しかったわけです。
しかし、Etsyはハンドメイドの定義をより広げていきました。まさにハンドメイドからメイカーズメイドへという流れを作ろうとしているわけです。
個人や小さなチームがスケールできる事業を生み出していける時代へ。今、見えてきつつある世界観はこのようなものです。
Author Profile
- 長沼 博之
一般社団法人ソーシャル・デザイン代表理事。次世代事業モデル構築を得意とする経営コンサルタント。「Social Design News〜社会をより良くする近未来インスピレーション情報〜」を監修。メイカーズ革命やクラウドソーシング、ソーシャルデザイン、これからの働き方についてTVや雑誌から取材多数。著書に「ワーク・デザイン これからの〈働き方の設計図〉」がある。