さて、タイムバンク(時間銀行)は、着々と広がっていきますよ。
カリフォルニアにある町レイクポートのタイムバンクメンバーが400名を超えてきたとのこと。いよいよ本格的な代替通貨として流通し始めてきたようです。
Time Bank celebrates its 400th member
人口4,753人ほどの町ですので、町に住む1割近くの人がタイムバンクを利用していることになります。
タイムバンクは、1時間働いた単位を「1」とし、お互いのスキル、サービス、資源等を交換しあうプラットフォームです。
【参考】
・広がる時間経済圏。お互いのスキル、サービス、資源をお金を介さず交換しあう「ECHO」
料理をすること、語学を教えること、法律のアドバイスをすることなど全て1時間の価値は同じであるところが特徴です。
ちなみに、こちらのレイク郡のタイムバンクの会員になるには、企業は50ドル/年(または5時間の仕事)、NPOは30ドル/年(または3時間の仕事)、個人は年間20ドル(または2時間の仕事) となっています。
いよいよタイムバンクが代替通貨の1つとして広がることが分かってきました。これからに注目です。
自己実現や貢献欲求がエンジンとなる社会へ
PHOTO: New Year’s clock from Shutterstock
タイムバンクが広がったからといって、貨幣経済圏がなくなることはありません。交換財としての貨幣は、何千年の歴史があるもので、人類にとって便利なものです。
しかし、この貨幣というものが、お金がお金をひたすらに生み出す金融システム、また現代の極端な格差社会を生む資本主義理論と密接に結びついて離れないという現状があるため、世界はこれらの力を無効化する代替貨幣を求め動いています。
ただタイムバンクなどと聞くと、様々な懸念もあるでしょう。例えば、誰もが同じ時間価値であることによって、競争原理が働きにくくなり、商品やサービスの進化が鈍化するのではないか?皆が努力をしなくなるのではないか?というものです。
しかし、それは人間=エコノミックアニマル、また「人間は、生理的欲求とせいぜい尊厳の欲求を満たすだけの存在である」と定義するからそういう仮説となるわけです。
しかし、人類は、自己実現、そして貢献の欲求という高度なエンジンをメインの動力とする時代に必ずなると信じている私にとっては、これらの疑念は必ず払拭されていくと確信しています。人間は誰かに喜んでもらうため、傍(はた)を楽にするために働く。タイムバンクの発展がそれを証明してくれることでしょう。
※クラウドワークスさんの2周年記念イベントで行った基調講演が東洋経済ONLINEで記事になっています。ご興味のある方はご確認ください。
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