「靴が1つ購入されたら、恵まれない子供達に靴を1つプレゼントする」
トムズシューズが広げたone for oneのこのシステムは、あらゆる業種に広がっています。メガネメーカー「モラルアイズ」は、メガネを購入できない人々を支援する慈善団体「ニュー・アイズ・フォー・ザ・ニーディ」とコラボし、1年半で1万5,000本のメガネを寄付しています。
【参考】
・1年半で1万5,000本のメガネを寄付したモラルアイズ。one for oneというソーシャル・ビジネスモデルの未来
日本で有名な事例は、「Table For Two」の1食たべるとアフリカの子供達に1食分の給食を支援するというプログラム。
そして、ついに1つの住宅が販売されると貧困地域に1つの住宅が建つという新しいone for oneモデルが登場してきました。始めたのはカナダの「World Housing」です。
現在30億人の人々が貧困と言われるような状況の中、清潔感の乏しい掘っ建て小屋に住む人々は11億人もいると言われています。この問題にone for oneのアプローチで取り組もうとするのがワールドハウジングです。
家を建てるデベロッパーは、ワールドハウジングと契約をして1戸につき2,900ドル(約29万円)を支払うと、それでこのone for oneモデルを導入することができます。実際に現地で家を建てるのは、NGOの建築グループです。
植林活動をCSRで行っています、というアプローチも良いのですが、住宅を買ったらone for oneで建てられた家とそこに住む人の笑顔が写真で送られてきたら、きっと嬉しいでしょうね。せっかくならそういうハウスメーカーを選びたいなんていう人は多いのではないでしょうか。
車に保険にインテリアに。one for oneは、まだまだいろいろなモノに導入されていきそうです。
希望の社会をバトンタッチするために
PHOTO: pregnant woman from Shutterstock
パリ・スクール・オブ・エコノミクス教授トマ・ピケティの書籍「21世紀の資本論」が、現代資本主義の限界を暴き、世界で話題になっています。
ポイントを一言で言ってしまえば、資本が資本を生むスピードの方が、賃金が上がっていくスピードよりも速く、これまで当然のように謳われ、半ば信じられてきた「資本主義で広がった格差は徐々に縮まっていく」という理論を否定するものとなっています。
つまり、現代の資本主義システムにおいては、巨万の富を蓄えている人の富は益々拡大していき、子孫も同じようにお金を持ち続けていき、この格差は縮まることはないということ。結果、民主主義は本格的に危機にさらされていると警鐘を鳴らします。
現実を生きる人からしてみれば、今更感もあるかもしれませんが、この超格差社会を見破る理論も、この時期に生まれるべくして生まれてきています。
マルクス主義が復活するのか?という騒がれ方もしていますが、きっとそうではないでしょう。もっとより良いハイブリッド型の社会が見えてくるはずです。タイムバンクの動きなどもまさにその1例です。
【参考】
・時間が代替通貨となる時。人口の1割が「タイムバンク」を利用しは始める
次の世代へ、今より良い社会、希望の社会をバトンタッチしていきたいものです。
※クラウドワークスさんの2周年記念イベントで行った基調講演が東洋経済ONLINEで記事になっています。ご興味のある方はご確認ください。
「働き方イノベーション8つのパラダイムシフト」