変化が激しくなってきたホテル業界。また、興味深い事例が巷を賑わした。
ワシントンのリッツカールトンホテルは、地域の非営利団体・DC Central Kitchenと組んで「Do Good, Feel Good」と呼ばれる宿泊プログラムを提供した。
DC Central Kitchenは、ホームレス支援団体であり、フードバンクの役割及び調理教育によって人々の自立を促す団体だ。
具体的にどのようなプログラムかと言うと、宿泊がボランティア活動をすることによって、プラスαのサービスがリッツカールトンから受けられるというもの。トレーニングルームを借りたり、朝食や駐車場は無料、まったホテル側から100ドルの寄付をDC Central Kitchenに頼むことも可能だ。
ちなみにこの宿泊サービスは1泊309ドル(約3万3,000円)となっている。
高級ホテルの代名詞のようなホテルが、社会性の高いキャンペーンを行う時。「宿泊者のニーズに合うのかどうか」という疑問も、この時代の空気にとっては愚問かもしれない。
社会性、公益性の文脈は、どのような企業であっても強めていかなければならない。それが、21世紀の大潮流となってビジネス社会を覆うからだ。今後このような事例は益々増えていくだろう。
ホテル業界の役割の進化
PHOTO: Modern luxury hotel reception from Shutterstock
空き部屋シェアサイトAirbnbの広がりが増えていく中で、固定費の大きなビジネスホテルは今後どのような手を打っていけば良いのか。一つの大きな課題が突きつけられている。
一方、このようなトレンドが加速してもリゾートホテルは、これまでと同じようなリゾートホテルであって、同じモデルでずっとやっていけるだろう、と考えている人も多い。
が、今回の事例でも分かるように、どんなブランドのある会社であっても、それは、その地域に、またその時代性と共に歩んでいることは変わらない。時空間に縛られない企業など存在しないのだ。
よって、どのような業界・会社であっても変化、進化は常に問われていくのである。それを忘れたブランドの凋落の歴史は、数えてもきりがない。
また「地域と組む」、「地域のプラットフォームとして存在し続ける」。そんなところにヒントが隠されていることを改めて感じる事例でもある。