皆さん、グンゼ株式会社ってご存知ですか?はい、あの有名なアパレル系
メーカーです。紳士用の肌着では日本一、今は衣料だけでなくFA機器や
プラスチック、フィルターの分野でも大きなシェアを持つ押しも押されぬ
日本の優良企業です。
実は創業者の波多野鶴吉氏は、まさに社会起業家として、ソーシャル・ビジネス
としてこちらの会社を立ち上げました。
波多野鶴吉氏は京都斑鳩郡(現綾部市)の豪農の家に生まれ、青年期には家
の資産を使い果たし、ひたすらに放蕩生活を送ったそうです。それを悔いた
波多野氏は小学校教員となりますが、教え子を通じて、地場産業養蚕農民
の貧しく苦しい生活を知ることになります。
そして、蚕糸業の体質改善を目的として郡内の有力者や蚕糸農民の出資を得て
郡是製糸会社を設立しました。農家に養蚕を奨励することが郡の急務であり、
「郡是」であると考えたのです。それが、今の「グンゼ株式会社」の社名の
淵源となっています。 まさに地域の活性化、貧困撲滅のために立ち
上げた会社です。
今、日本中に立ち上がってきている、ソーシャル・ビジネスは規模としては
まだまだ小さなところが多いです。しかし、2010年代後半から2020年代に入ると、
例えばNPO発で大きな産業、市場が広がる事例が多数あがってくると予想しています。
パラレルキャリア時代を支えるNPOの存在
photo credit: shoebappa via photo pin cc
21世紀型の社会起業やソーシャル・ビジネスは株式会社だけでなく、事業型
NPOとして立ち上がるケースが多くなっていくでしょう。
日本政策金融公庫総合研究所が発表しているNPO法人の経営状況に関する実態調査
の資料は日本のNPOを知るための良い参考資料になります。
ただ、有効回答数が23.3%となっていて、比較的うまくまわっているNPOが
アンケート提出している、というところを差し引いて読む必要があります。
例えば、私がおもしろいな、特徴的だなと思ったデータはこちらです。
・代表者の年齢をみると、60歳以上が64.9%を占めており、
営利企業の水準(43.4%)を上回る
・ 代表者の性別をみると、「男性」が70.5%、「女性」が29.5%。
「女性」の割合は、営利企業(23.3%)よりも高い
・代表者の兼務状況をみると、「兼務している」が48.2%と、約半数
・兼務している職業のなかでは、「経営者・個人事業主」の割合が46.1%と
最も高く、その大半が小企業や中小企業の経営者
・一方、兼務していない代表者の前職をみると、「正社員(管理職)」が
21.0%と最も多かった。ただ、「専業主婦・主夫」が13.1%に上るほか、
「経営者・個人事業主」(10.7%)や「大学・高校等の教員」(7.7%)、
「パート・アルバイト等」(6.4%)も一部にみられる
・活動分野をみると、複数の分野を挙げる法人は72.1%に上る
主たる活動分野については、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」
が48.6%と約半数を占め、「子どもの健全育成を図る活動」が9.5%、
「学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動」が9.1%と続く
・活動を始めた動機をみると、「社会の役に立つ仕事がしたかったから」
が71.0%と、最も多い。次いで「社会や地域と関わりをもちたかったから」
が44.8%、「仕事の経験・知識や資格を活かしたかったから」が31.2%
となっている(図-18)
・果たしている役割をみると、「行政が対応しきれないサービスを提供
する役割」が36.1%と最も多く、「社会や地域の課題の解決に取り組む
役割」(31.8%)、「市民の社会参加を促進する役割」(13.1%)と続く
これからは、一人がいくつかの職業、仕事を持つパラレルキャリアの時代です。
NPOはそんな時代になくてはならない、職業的、社会的インフラとなること
でしょう。
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