下請け製造業が「3Dプリンター」で復活した事例があります。
それが長野県伊那市にあるスワニーさん。元々モーター部品等を作り、最盛期には60人の従業員がいました。しかし、「取引先の海外移転」によって、今の橋爪良博社長が家業を継いだ2010年には、社員が両親2人だけの状況となってしまいました。
このままでは事業をたたむしかない…ということで「3Dデータ設計会社」へと心機一転!事業の大転換をはかりました。
簡単なラフスケッチやアイデアさえ持っていけば、設計、プロトタイプ、加工までの流れを気軽に相談できるとのこと。現在は、大手医療メーカーや家電メーカーからの仕事も受けており、従業員は再び10人以上になってきています。
こんなふうな医療向けの生体モデルを造形できます。
3Dプリントしたものに、メッキ塗装できます。 こちら業界初とのこと。
http://swany-ina.jugem.jp/?eid=868394
今後は、自社開発商品の展開も検討しており、ものづくりメーカーとしての立ち位置も築いていきたいと考えているようです。
「ものづくり」はコモディティー化しない価値の提供を
photo credit: L. Marie via photopin cc
コモディティー製品は、どんどん無料に近づいていきます。例えば、昔高級であった「紙」は、今やカフェに行くと無料の紙ナプキンになり、大学では、広告がつけばコピー用紙は無料となっています。
加速するオートメーション化、情報化、グローバル化によって、生活に最低限必要なものが、どんどん無料に近づいていく傾向は強まります。つまり、ご紹介しているフリパンやタダヤサイドットコムのような流れは、これから大きな潮流として認知されてくることでしょう。
そしてこれからの「ものづくり」、つまりデジタルファブリケーション時代の事業は、コモディティー化しない「価値」の提供が目標となります。
「体験価値、感性価値を提供できるもの」、「ライフスタイルを提供できるもの」、「ブランドとして認知してもらえるようなもの」は、貨幣経済の中で、まだまだそれ相応に「お金」が支払われていきます。つまり、経済成長のない時代においても、大きな売上げを上げていくことはできるのです。
ただそれは、もちろんそんなに簡単ではありません。どの時代でも「ブランドを作る」ということは、楽ではありません。しかし、デジタルファブリケーションの時代において、チャレンジの壁が低くなったこと、プレイヤーの数が増えていくことを考えると、今までよりもはるかにたくさん希望も見えてきます。スワニーさんの事例は、勇気がもらえますね。更なる発展に期待です。
■Social Design News facebookページ
http://www.facebook.com/SocialDesignNews
■一般社団法人ソーシャル・デザインへの仕事依頼について
http://social-design-net.com/works