マルチクリエイティブ会社・ザリガニワークスさんの書籍””遊んで暮らす コレジャナイ仕事術“が面白いです。「幸せな働き方×メイカーズ」という私のアンテナに引っかかりました。
ザリガニワークスさんは、おもちゃ関連の仕事をメインとしており、アイデア担当の武笠太郎さんと、デザイン担当坂本嘉種さんの2人でやっています。
10万個でヒットと言われるガチャガチャ用のカプセルトイ”土下座ストラップ”は、なんと220万個以上を売上げているそうです。しかも、おもちゃメーカーと組み、ロイヤリティビジネスとしての展開です。すごい!
そして、有名なのは「コレジャナイロボ」。
なんとこれ、グッドデザイン賞を受賞しています。コンセプトは「がっかりさせることで、子供に人生の真理を教える”情操教育玩具”」。面白い…(笑)
また、自爆ボタンもありまして、商品説明がまた一品。「自爆ボタン型インテリアアクセサリー。 あなたのお部屋のカベ、パソコン、車、家電製品等に貼るだけで緊張感が漂います。 強力粘着テープでどこにでも取り付け可能です。スイッチとしての機能は全くありませんので御注意ください。」
個人的には、最高機密封筒が好きです。「自信の持てない企画書や、その他書類の提出等に御使用頂くと、内容以上の結果が得られるかもしれません。」とありますが、たぶん難しいでしょう…(笑)でも、打ち合わせでこの封筒を出されたら、その場の雰囲気は、一気に持っていかれそうですね(笑)
このような商品の販売は、「太郎商店」というWEBサイトで行っています。
お客さんの反応を見るための実験販売も含め、こちらで行っているようですね。
また太郎商店には、このような文言が。
「太郎商店の商品は、そのほとんどが手作りによるものです。その為、若干の個体差、納期の遅れ等、御迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、日々フル回転にて頑張っております。大変申し訳ありませんが、御理解頂けると幸いに存じます。」
おおお〜。書籍を読むと分かりますが、お二人ともとても幸せそうに働いていらっしゃいます。これからのメーカーズ、そして働き方を考えている人にとって、参考になるでしょう。
江戸時代の働き方が高度に復活する
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン)が 2013年 2月号で、”仕事が消えたあとに残る未来のブラック企業”と題して記事が編集されていますが、そんな絶望的な社会を、次の世代に絶対バトンタッチできないですよね。
よって、私が今注目しているのが「江戸時代の働き方」です。細かな分業によって、ひたすらに生産性を重視していく産業社会以前の働き方です。私は、その時代の働き方が高度に復活してくる可能性があると思っています。
上の画像は、書籍”江戸の生業事典“の目次画像。酢屋、すだれ売り、たわし売り…、本当に細かく数多くの職業が存在していたんですね。ただこれも、このまま復活するわけではありません。今、「酢」だけの販売を目的にしたお店をオープンしても、経営難易度は非常に高いです。ほとんどのお店は潰れてしまうでしょう。
しかし、ここで出てくるのが、ザリガニワークスさんの事例です。土下座ストラップや最高機密封筒などを、ネット上で、在庫を持たず販売するという形です。私のイメージでは、江戸時代の「酢」や「たわし」が、コレジャナイロボや自爆ボタンに入れ替わっていくのでは?と思っています。
つまり、生活に必要なニッチな物を地域に向けて商売にしていた江戸時代に比べ、これからは、生活に必ずしも必要ではないかもしれないニッチなもの(クリエィティブなものやソーシャルグッドなもの)を、日本中、世界中に販売していくという働き方に変わる可能性があるということです。
そして、江戸の人達は、1日だいたい4つの仕事、活動を行っていたようです。
まずは朝ですが、近隣に声をかけ、困ったことが起きていないか様子を見て周り、その手当てをしたそうです。これが「朝飯前」の語源ですね。
朝ご飯を食べた後の午前中は、働いて「お金」を稼ぎます。これが現代の私たちの「仕事」ですね。今はこれが、夜遅〜くまで続く…という感じになっています…。
また、ランチを食べた後の午後は、人のため町のために「はた(傍)をらく(楽)にする」働きをしたそうです。現代で言えば、貨幣経済に左右されないプロボノ、ボランティア、ライフワークと言えそうです。そして夕方になると、明日また元気で働くためのリフレッシュ時間です。皆それぞれ、いろいろなことをしたようです。
これまさに、パラレルキャリアですね(笑)ひょっとすると、こんな働き方が、高度に復活してくる過渡期に私たちはいるのかもしれません。