こちらの動画は、ウィスコンシン大学のEric Ronningさんが開発した、3Dプリントが可能な義手です。
引っ張るだけで、指を閉じたり開いたりすることができる面白いデザインです。またこちら電子部品を使っていません。通常買うと600ドルほどする義手ですが、こちら材料費20ドルで作れてしまったとのこと!まさにソーシャル・イノベーション!各所で注目を集めており、数々の賞を受賞してきています。
目標は、発展途上国に住む、手の不自由な人80%に、解決策を提供すること。う〜ん、素晴らしい。
メイカーズ革命が引き起こすソーシャル・イノベーションが、これから世の中にたくさん出てくることでしょう。
ソーシャルグッド×メイカーズは相性がいい
最近、常々思うこと。ソーシャルグッド×メイカーズは、本当に相性がいいです。
その理由は、オンリーワンを作ることのできるカスタマイズ力と、自由自在なクリエィティブさからです。
小さな子供が義手を使う場合、その成長に合わせて義手をすぐに交換しなければいけないでしょう。しかし、もし格安で義手を3Dプリントできるのなら、そのインパクトは計り知れません。
ちなみにこちら「障がい者のものづくりに輝きを」というテーマで開催されている、日本のものづくりアワード”Barrier Free Style“です。
バリアフリースタイルでは、「デザインによる付加価値」と、「作り手にとってのバリアフリー」を両立させる商品を生み出すことで、障がい者の方の経済的・社会的自立の実現を目指しています。
就労継続支援事業所と呼ばれる障がい者施設では様々な商品(雑貨や食品等)を企画・生産・販売し、その収益を生産従事者である障がい者に還元していますが、付加価値のある商品を企画できていないことが多く、障がい者の賃金は月額平均13,079円(出所:平成22年度厚生労働省調査)と、経済的自立からはほど遠い状況となっています。
この状況を打開するため、本アワードでは、クリエイティブの力を通じて、消費者にとって付加価値が高く、かつ障がい者の方が生産可能(「作り手にとってのバリアフリー」)な商品を生み出したいと考えています。
デザイナーと障がい者、そして買い手をつなぐ企画になっています。
アクセサリー部門、木工部門、アパレル・グラフィック部門などの中から一つ選択し、テーマと留意点を満たした提案を、A3のプレゼンシート一枚で表現します。
このような企画を見ていて思います。3Dプリンタやデジタルファブリケーションの普及によって、障がい者の方々がものづくりを通して、むしろソーシャル・イノベーションの主役になっていくだろうな、と。
メイカーズ革命は、「職人技術×身近な電子機器×デザイン力」というBsizeさんのモデルや「ソーシャル・グッド×電子機器×デザイン力」というWHILLさんのモデルが、日本では注目を集めています。
しかし、今回の義手のように「ソーシャルグッド×クリエティビティ×デザイン力」というモデルは、ソーシャル・イノベーションを生み出す大きな可能性を秘めたモデルです。日本の多くのメイカーズが、ソーシャル・イノベーションを起こす商品を作っていってくれることに期待です。