対立した概念をどのように昇華させるのか。あらゆる課題の裏側に常にその命題がある。
社会と経済、国家と企業、資本と労働。また、そんな大それたものではなくても、私たちの生活の中には、一見矛盾しているように見える対立軸で溢れている。休日をどのように過ごしたいか、ということを家族で話し合っても、その隔たりは小さくないかもしれない。
しかし、その対立軸をどのように見つめ対処していくかに、その人の精神の力があらわれる。時にそれは、何かクリティカルなアイデアで解決するように語られることもあるが、本質的には、アイデアというよりも人間の精神の力によって、それが行われることが多い。
忍耐力や受容力、俯瞰力、その人が持っている思想、そういったなかなか計量できない人間の力が、その場を結びつけて統合し、場をより良い方向へと導こうとするわけだ。
今問われていることは、その精神の力の基礎だ。一見矛盾しているものをその精神力で統合し、その上で対峙しているものを有機的に結び合わせる。その連続が、実は大いなる前進へとつながっていく。
このカタツムリの速度でしか進まないアプローチなくして、ツールによる表層的な解決策だけを追っても空を切ることになる。それが現代の特徴だ。
来年も益々この対立軸が際立って見えることだろう。感情的に批判したくなることも多いはずだ。しかし、私たちが常に腹に置いておかなければならないことは、その対峙を統合できる力が自分にはあるか、それを地道に育てているか、ということである。
人間の力は無限だ。一人一人の可能性は計り知れない。その人間が宿す精神の力を開き現す時が今である。
※新刊「ビジネスモデル2025」が、発売1ヶ月半で5刷に突入!
【参考】
・【BBM】『ビジネスモデル2025』長沼博之・著 vol.4122
・Newsweek日本版「コストゼロ&シェアの時代のマネタイズ戦略」
・「ビジネスモデル2025」で紹介した”価値消費ピラミッド”と21世紀の消費について
・新たな経済パラダイムとビジネスモデルが出現する。新著「ビジネスモデル2025