2006年から始まったIBMの未来予測 Next 5 in 5。今年も「Next 5 in 5」の2012年版が発表されました。こちらは、今後5年間で私たちの生活を一変させる5つのイノベーションを紹介するもの。今年は非常に興味深い発表でした。
1、スマホを通じてモノに触ることができる。
→5年後にはスマホ画面から服の生地や家具の材質などをチェックして商品を購入することができるとのこと。また、医者が患者を触診する時にも使われる。
2、コンピューターが視覚を持ち、情報の意味までを把握し始める
→今、コンピュータが画像を理解する場合、タグ付けやタイトルといったテキスト頼り。しかし今後5年間で、人間が見るのと同じように、視覚データの内容を認識できるようになり、そこに意味すら見い出し始めるとのこと。
3、コンピュータが感情や雰囲気まで聞きとり始める
→音圧、振動、周波数の音波など音の要素を検出し、地滑りが起こりそうなタイミングまで予測できるとのこと。また感情を学習し、雰囲気を感じることができるようになり、異文化コミュニケーションの円滑化も進む。また赤ちゃんの泣き声で、何を感じているのか分かってくるということ。
4、コンピューターが味覚を持ち始める
→食材を分子レベルまで分解し、食物の組み合わせを分析し、人が好む味付けやそれを心理学と融合することもできるようになる。新たなレシピをコンピューターが生み出すようになり、健康になる食事の提案なども行えるようになるとのこと。
5、コンピューターが嗅覚を持ち始める
→PCやスマホに埋め込まれた小さなセンサーが臭いを把握し、病気の前兆を検出できるようになる。肝臓疾患、腎臓疾患、喘息、糖尿病、てんかんといった病気の発症を診断、モニタリングできる。
ついに、この時代が現実に到来するか…といった感じですね。
ちなみに、昨年発表された「Next 5 in 5」2011年版はこちらです。
1、家庭用電力の“人力による供給”
→人間が動くエネルギーで発電できるようになる
2、コンピューターのパスワードが不要に
→生体認証技術の発達
3、読心術の実現
→脳波を読み取り、コンピューターに理解させる
4、デジタルデバイドの解消
→モバイル端末の普及
5、迷惑メールが価値ある情報に
ターゲティング技術の発達で、より良い情報を受け取れる
これをみても今年の2012年版がいかにすごいかが分かりますね。テクノロジーがいよいよ私たちの生活スタイルの根本を変えてしまうところにまできています。
一億総エレクトロニクスメーカーという時代も!?
photo credit: Stuck in Customs via photopin cc
これまでのインターネット革命の本質は、人間と人間とのコミュニケーション革命でした。WEBサイトにしても、ブログにしても、SNSにしても基本は、人と人をつなぐためのコミュニケーションツールとして、デジタルが活用されていたにすぎません。
しかし、ついにここ数年でこの領域を超えてきます。
それは、モノと人間、そしてモノとモノがコミュニケーションを取り始めるという領域です。今までにわかには語られてきたことですが、それがいよいよ本格的に進んで行く時代に突入してきたのです。
Next 5 in 5でも分かるように、これによって、私たちの生活の常識は一変していきます。
また、これらの技術がデジタルファブリケーション技術と組み合わさって、あらゆる人の目の前に多くのチャンスを生み出します。
それは、大企業のみのチャンスではなく、むしろ個人や小さなチームにとって大きなチャンスとなりそうです。例えば、最近では、簡単な電子機器までも3Dプリンタで印刷されるようにもなってきました。やがて、人口知能×3Dプリンティング×職人技術×デザイン性あたりの掛け合わせが、個人やチームで簡単に行えるようになっていきます。
「3D printing technology is moving forward at an almost lightning fast pace.」
(3D印刷テクノロジーは、カミナリのようなスピードで進化をしている)
とあるように、「一億総エレクトロニクスメーカー」という時代も、あながち遠くないように思っています。
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